吉原から空想へ
〜その2〜
1999.05.04

  

  

 吉原神社の先を左手に曲がると、吉原弁財天がある。広さは三十坪ぐらいだろうか、チョット目みすぼらしい。観音さまがいらっしゃるというので、お参りしてみる。さて、観音さまは? と見渡しても一寸居場所が判らない。敷地の真ん中にどんと構えていた奇岩状の山なりのてっぺんに、観音さまはおわしたのであった。


   

  

  この観音さまは、大正十二年の関東大震災で犠牲になった吉原の女性たち三千人余を慰めているのだそうだ。そしてここには明治三十四年の大火後の復興を記念する「吉原名残碑」をはじめとして、さまざまな碑などが建っている。


  

 

 吉原弁財天から鷲神社は目と鼻の先だけど、今日はお参りせずにそのまま国際通 りを渡ってしまい、金美館通りのひとつ北の通りに入る。たむらしげるさんのイラストの看板があるところ、そこが「空想雑貨」だ。


 店内には昭和三十年代後半から四十年代の国産おもちゃが整然と並べられていた。ウルトラ怪獣のソフトビニールやゴジラ、サンダーバード、プラモデル、カードや日光写真などの紙モノなどなど。いかにもアンティークおもちゃ店の趣なのだけど、奥に何故か畳が敷かれていてガラスケースがギャラリーのようになっている。店内をひとまわりしてみてると、おもちゃたちの整然さはただキレイに置かれているわけではないことに気づくだろう。神田神保町の古書店の大屋書房や松村書店のようなどっしり感がある。これが店主のこだわりなのだろうか。とても居心地がいい。

 今日は写真撮影をしなかったが、店主の書いた本「ガンタマ」(発行:東西企画、発売:星雲社)1800円也を購入。タイトルは”浅草の玩具の魂”の略のようだ。なぜ、玩具の魂が浅草に宿るのかはこれを読まずとも、最近のホビイストでも分かるだろう。浅草を中心にバンダイや数々のおもちゃの歴史を築いていったメーカー(すでになくなった会社も含め)たちが同心円上に所在しているからだ。そして何故、魂が宿るのかは本書を読むか、お店にぜひいってみればわかるだろう。


  

 マルサンのビニル人形の絵はがきをいただいた。撮影は筑摩書房から「ぼくらの鉱石ラジオ」という本も出している小林健二さん。キレイでしょ。そういえば、空想雑貨の畳の上にも鉱石標本が置かれていたなぁ。



空想雑貨

〒111-0031 東京都台東区千束2-30-1
定休日:火曜・水曜
営業時間:11時から19時
電話:03-3872-1166
http://www.kusou.co.jp/

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