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 私がたぶん3歳のころまで隅田川の両国の花火大会があったのだと思う。その後15年間中止されていて、今から20年前に隅田川の花火大会として復活した。私は昔の両国の花火大会の記憶はほとんどない。私の子供の頃は今の立て替えた家ではなく、戦後に立てた祖父の家で建て増しをしていたなつかしい家の屋根の上の物干しで見ていた事と思う。昔の家の物干しからは富士山も見えていた記憶がある。だからきっと夜空いっぱいに広がる花火を見て楽しんでいたのだろう。

 20年前私は高校を卒業したばかりだったと思う。復活した隅田川の花火は昔の両国橋での打ち上げから場所が移り、厩橋と桜橋の2会場で打ち上げられることになった。子供の頃の花火大会は覚えていないので、生まれて初めて見る花火大会だった。どこから見ればいいんだろう?と初めて見る花火を想像した。昔と違ってビルが増えたから、きっと高いところに行かないと見えないだろうと考えた。もちろん4階建てのわが家からも見えるはずはないと思えた。

 そこで、友人たちを誘って上野の山に向かった。あそこなら間違えなく見えるだろうと思った。たくさんの人が15年ぶりの花火を見に上野の山に集まっていた。とうとう15年ぶりの花火大会がはじまった。ところが・・・音はかすかに聞こえる。隅田川の方角の空はネオンでとても明るいが花火が上がるといっそう明るくなる。でも、でもすぐ前にある今は丸井になったビルがでぇんとじゃまして花火が見えないのだ。

 なんと言うこと・・・こんなに高いところに来たのに見えないなんて。いったいどこに行けば見えるんだろう。上野の山にはたくさん人がいたが、その年の花火はとうとう見ることができなかった。その晩家に帰ると「あ〜よく見えたよぉ。第1会場も第2会場も丸見え!」と家族に言われた。まさか、上野の山でさえも見えなかった花火が家の屋上から見えたなんてウソでしょ!

 次の年、私は自宅の屋上から花火を見た。おみごと!!第1会場も第2会場もバッチリ見える。音だって迫力満点に聞こえる。屋上にテレビを運んで解説を聞きながら見るとこれまた2倍以上に楽しめる。花火コンクールもその花火の説明を聞いてから本物がうち上がるのを見る。なんとおみごと!! おっしゃるとおり! 夜空に咲く大輪のハイビスカス、空に舞うUFO、表題のどうりの花火にうっとり。

 なんてすごいんだろう。これから毎年楽しめるゾォー!。それから毎年屋上に上がって花火を楽しむ。一度は雨の年もあった。屋上で傘をさして花火を見た。また、風向きによっては煙がこちらに流れてきて、まったく見えない年もあった。花火を見たい友人たちが家に集まるようになった。すごい!すごい!と言ってみんなで屋上で一杯飲みながら楽しむのが恒例となった。特に一番最後に上がる真っ白な光の噴水のような花火がすごい。感激である。そしてこれまたピッタリ8時30分に全てが終わり、何事もなかったように静かになる。

 ところが、それから年々家のまわりに高いビル、建物が増えてきた。あれぇ〜去年まで第1会場も第2会場も見えていたのに何と1年にして第1会場はすぐ近くに立ったビルに隠れてみえなくなってしまった。また、1年たつとまたビルが立つ。だんだん見える範囲が狭くなる。音は聞こえるけれど、今では高く上がった花火がきれいに見える程度になってしまった。それでもまだ見えるからうれしい。どうかもうこれ以上高いビルが隅田川の方向に立たないようにと願うこの頃だ。

今年はどれくらい花火が楽しめるだろうか?ビルの隙間から見える花火もオツなものだ。

1997.7.24 byTama-Chan

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