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 先週の土曜日娘が5歳の誕生日を迎えた。

 私たち家族は親や姉弟をさそって、娘のたっての希望だったカラオケルームで誕生パーティーをした。

 そういえば、子供(小学生)の頃、誕生日には近所の友達を家に呼んでプレゼントをもらい、親は一世一代のご馳走をする誕生パーティーたるものがはやっていたなぁ。今の子供たちもそういうことをするのだろうか。やはり今回の私たちのようなカラオケ・パーティーなんかをしているのだろうな。

 私も子供の頃、やはり近所の友達を呼んで誕生パーティーを開いてもらった覚えがある。ちらし寿司などを作ってもらった他に我が家では、子供たちひとりひとりに国際通りにある浅草寿町の都バス車庫近くにあったデンキヤホールという食堂から、その時人気のオムヤキソバを出前してもらった。

 これは、オムライスの中身、ライスのところにソースヤキソバが入っていて卵焼きでくるんであり、トマトケチャップがかかっている食べ物でとてもおいしかった。

 その後国際通りにあったデンキヤホールはいつの間にかなくなっていて、私にとって幻のオムヤキソバとなっていた。

 6年前に娘を妊娠した時に台東区生まれの子供にしたくて近くの病院を探した。私の住んでいる所から大きな病院というと千代田区の三井記念病院か墨田区の同愛病院になる。台東区内にはお産ができる大きな病院が近くにはなかったのである。そこで浅草保健所に電話をして台東区で子供が産める産院がないか聞いてみた。すると1軒の個人産院を教えてくれた。

 それは、浅草の千束通り商店街の裏にある個人医院の先生だった。ここの先生は都立台東病院の産婦人科の院長をされていた方でとても信頼のおける人だった。

 子供が産まれるまでの数ヶ月間、何度もこの医院に検診に通った。お腹が大きくなってきたので、いつもは主人に車で連れていってもらうか、タクシーを使って行った。しばらくすると運動不足になるからと言われ歩くように勧められた。

 ひとりで、千束通り商店街をブラブラ歩いていると「デンキヤホール」という喫茶店を見つけた。以前デンキヤホールがあった国際通りとはまったく違うし、喫茶店だし・・・

 でもあの時のデンキヤホールかしらと思い、思わず飛び込んでしまった。中は普通の喫茶店だった。カフェオレを注文してメニューを見るとあのなつかしいオムヤキソバの文字があった。よっぽど注文したかったけれど、あいにくお腹がいっぱいだったので飲み物だけにした。そこで幻のオムヤキソバを食べている人はいないかと探したけれど、その時は誰もオムヤキソバを食べていなかった。

 あれから5年。いつかあの店に行って幻のオムヤキソバを食べてみたいと思いつつ、毎日忙しさにまぎれて時間がたってしまった。

1997.4.23 by Tama-chan


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