第12回 浅草で拾ったメディアの紹介 [96/11/11]

【拾った場所】台東書店(雷門近く)
【タイトル】「コジコジ」 さくらももこ

 さくらももこはマンガにエッセイにと縦横無尽に活躍しており、もはや語るところのないほどであるが、この「コジコジ」は著者が本来もっともやりたいものであろうかと思うほど、その個性が見え隠れしている。

ところはメルヘンの国。宇宙生命体コジコジ(性別・年齢不祥、でもかわいい。)は3年インコ組(セキセイ)の仲間とともにいろんな出来事(トラブル)にあい、とプロットは「ちびまる子ちゃん」なのであるが、その描かれているワールドが”MAD”ファンタジーで、登場するクラスの仲間も「おにぎり星人」だの「やかん君」だの「カエルのトミー」だの「半魚鳥のジローくん」だのと、異形の種ぞろい。かわいらしい女の子・かっこいい男の子がでてきてという典型的少女マンガに憧れながらも(連載している「きみとぼく」は少女マンガ雑誌だ)やっぱりこういうへんてこなものもたくさんおもしろおかしく描きたいっていうギャップ(ふところの広さ?)が、さくらももこのおもしろさかな、とも思う。

ノスタルジックな面でまず評価されてしまった感のある「ちびまる子ちゃん」だが他のキャラクターにみられるへんてこさもその魅力であろう。(丸尾君も花輪君もみぎわさんもマンガ家で同じなまえがあるし、えびすくんってのもいたはず) 先頃にでたエッセイ「あのころ」では、前3作「○○の○○○○」シリーズに比べ言葉のすべりにケレン味のないような気がして、ちょっとパワーダウンしたかな、ともおもったけれども、ちょっとマイナー(?)な雑誌上でのびのびと描いているさくらももこに期待したいのであった。


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