第3回 浅草で拾ったメディアの紹介 [96/04/27]

【拾った場所】リブロ浅草
【タイトル】「サンサル@」 太田垣晴子著 廣済堂出版

本書は「画文」という、手書きの文章と手描きの絵とで構成されている(ISBNコードとバーコード以外すべて手書き!)。タイトルの「サンサル」とは、「見ざる・言わざる・聞かざる」のサルたちをあらわす作者の造語で、「あのサルたちは知ること・伝えることがもどかしそうで、そのもどかしいナニカは自分にもあって、その表現のもどかしさを形にするためにこの画文という方法をとっている」ということだ。
「つれづれなるままに」さまざまな日常・思っていることを描くという内容で、そういった点では先駆にさくらももこがいるが、さくらももこの画風がアール・デコであるのに対し、太田垣晴子の方はというとフォビズム風のダイナミックな、しかしかわいらしい絵柄だ。かつ、ありがちなノスタルジックな描き方をしていなく、「今」を切り取って描いている作風も共感できる。
また、作者は美大の助手をしているのだが、「美術の見方」にもふれていて、美術作品っていうのはわかる・わからないとかで見るんじゃなく、面白いとか、気持ちいいとか、好き嫌いっていう感覚で見るのがいいと言っていて、そう!私も前から同じ考えだよ、と思ってしまったのであった。
最近、各雑誌(散歩の達人・ダヴィンチなど)に連載の増えてきた太田垣晴子にこれからちょっと期待。


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